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HATARAKI

DXで空いた10分を、また仕事で埋めるのか

企業の魅力は、新しくつくるものというより、すでに会社の中にあるものを見つけることから始まるのかもしれません。

HATARAKIでは、Vamosが過去に取材した記事を僕自身が読み返し、当時聞いた話を今の視点からもう一度考えています。

今回読み返したのは、「グランド印刷株式会社」の記事です。
数年前の話ですが、今だからこそ考えさせられる部分がありました。

DXは何のためにあるのか

仕事が速くなることは、本当に「効率化」なんだろうか。

最近、AIやDXについて考えていると、この問いに引っかかることがあります。

10分かかっていた仕事が3分で終わるようになった。

30分かかっていた作業が半分になった。

それ自体は、もちろん良いことです。

でも、そこで空いた時間にまた別の仕事を入れて、結局その人が一日中忙しいままだとしたら。

それは人が楽になったというより、単純に「仕事を詰め込める量が増えた」だけなのかもしれません。

今回は、その中で「DXは何のためにあるのか」ということについて考えました。

効率化の先に何が起きたのか

グランド印刷の記事を読み返していて、特に印象に残ったことが二つありました。

一つは、自分たちを単なる「印刷会社」ではなく、「情報を届ける会社」と捉え直していること。

もう一つが、DXを単なる効率化ではなく、「人が考える時間をつくる」ものとして捉えていることです。

この二つは、僕の中ではかなりつながって見えました。

DXやAIの話をすると、どうしても数字で成果を見たくなります。

「30分かかっていた作業が10分になった」

「作業時間を50%削減できた」

もちろん、こうした成果は大切です。

でも、それだけでDXが成功したと言っていいのか。

10分の仕事が3分になったなら、本当に見るべきなのは「7分削減できた」という事実だけではなく、

その7分によって、何ができるようになったのか。

というところなんじゃないかと思います。

新しいことを考えられたのか。

お客様について考える時間が増えたのか。

誰かと話す時間ができたのか。

今までできなかった仕事に挑戦できたのか。

そこまで見て初めて、効率化が人や会社の変化につながったと言えるのかもしれません。

「やった」で終わると、仕事は点になる

Galaxiaでは最近、「点ではなく線で考える」ということを大切にしています。

SNSを8本投稿した。

Webサイトを公開した。

AIを導入した。

一つひとつは必要な仕事です。

でも、それだけを見ると全部「点」です。

SNSを投稿した。そのあと誰が動いたのか。

Webサイトを公開した。顧客の何が変わったのか。

AIを導入した。そこで生まれた時間によって、人間は何を考えられるようになったのか。

そこまでつなげて初めて「線」になる。

点は「やった」で終われる。
線は「それで次に何が起きた?」まで考える。

DXも同じだと思います。

AIを導入した。

業務を自動化した。

作業時間を短縮した。

そこで終われば、やっぱり点です。

その結果として生まれた時間を何につなげるのか。

そこまで設計しないと、効率化によって空いた場所には、また別の作業が入ってきます。

Galaxiaも、まだAIに使われている

これはGalaxia自身にもかなり当てはまります。

僕らも仕事の中でAIをかなり使っています。

以前より速くできるようになったことも増えました。

でも今はまだ、「AIによって人が自由になった」というより、

AIを使うために人が動いている。

そんな部分も多いです。

AIを使うこと自体が目的になってしまうと、「AIを導入した」「AIで作った」「AIで速くなった」という点ばかりが増えていきます。

本当に見たいのは、その先です。

AIによって空いた時間で、今までより難しい仕事に挑戦できた。

そこで得た経験を、次の人が使える形で会社に残した。

その経験を使った別の人が、さらに次の挑戦をした。

そうやってつながっていくなら、AIによって生まれた時間は、ただの「余り時間」ではなくなります。

人の成長や、会社の成長につながっていく。

効率化によって生まれた余白を何に使うのかまで考えることが、AIを使う側の仕事なんだと思います。

一人の経験を、一人だけのものにしない

ここまで考えると、AIの価値は時間短縮だけではないと思えてきます。

仕事では、毎日いろいろな経験が生まれています。

営業で受注できた。

提案がうまくいかなかった。

お客様からこんな反応があった。

この判断をしたらうまくいった。

逆に、こう判断したら失敗した。

今までは、その多くが経験した本人の中に残っていました。

Aさんが失敗したら、Aさんが学ぶ。

Bさんがいい商談をしたら、Bさんがうまくなる。

ベテランの上司が10年かけて身につけた育成方法は、その上司の中にある。

でも、成功や失敗、判断、顧客とのやり取り、フィードバックをAIに残していけるなら、一人が仕事で得た経験を次の誰かが使えるようになるかもしれない。

もちろん、知識を読んだだけで経験したことになるほど、仕事は簡単ではありません。

でも、若手が先輩たちの経験を知った状態で仕事を始めることはできる。

少し難しい仕事に早く挑戦できる。

そこで新しい経験をする。

そして、その経験がまた会社に残る。

僕は、この循環はかなり大きいと思っています。

仕事は、納品したところで終わらない

だからGalaxiaでは、将来的に「仕事が終わった」の定義そのものも変えていきたいと思っています。

営業で受注した。

制作物を納品した。

それだけで終わりではない。

その仕事から、次の誰かが強くなるものまで残す。

なぜうまくいったのか。

どこで失敗したのか。

次にやるなら、何を変えるのか。

それを会社に残すところまでを仕事にする。

僕は、これは善意ではなく、責任であり義務だと思っています。

一人には、一人の限界があります。

どれだけ優秀な人でも、その人一人が経験できる仕事には限りがある。

だからこそ、

強い会社は、優秀な人がいる会社ではなく、優秀な人の経験が次の人へ移り続ける会社なんじゃないか。

今はそう考えています。

AIによって仕事が速くなり、そこで生まれた時間で新しい挑戦をする。

その挑戦から得たものを会社に残す。

次の人がそれを使って、さらに先へ進む。

そう考えると、DXで「10分が3分になった」という話の見え方も少し変わります。

大切なのは、7分を削減したことだけではない。

その7分が、次の何につながったのか。

空いた時間は、会社の未来をつくれているか

今回、グランド印刷の記事を読み返していて、自分たちを「印刷会社」ではなく「情報を届ける会社」と捉えていることと、DXを「人が考える時間をつくるもの」と考えていることが、僕の中では一本の線につながりました。

手段ではなく、その先を見る。

印刷することではなく、その情報が届くところまで考える。

効率化することではなく、そこで生まれた時間が何につながるのかまで考える。

僕らもWebをつくること、SNSを運用すること、AIを導入すること自体をゴールにはしたくありません。

一つひとつの仕事を点で終わらせず、その先に何が起きるのかまで考える。

AIについても同じです。

10分の仕事が3分になったとき、空いた7分にまた別の作業を詰め込むのか。

それとも、その7分を人が考え、挑戦し、その経験を次へ残すために使うのか。

AIの本当の価値は、人をただ速くすることよりも、

一人の限界を、組織で超えていくことにあるのかもしれません。

効率化によって生まれた時間を、僕らは何につなげるのか。

AIを使うことが当たり前になっていくほど、その問いの方が大切になっていく気がしています。

おわりに

昔の記事を読み返すたびに感じるのは、取材は公開したその日だけのものではないということです。

社員がどんな仕事をして、何を考えていたのか。それを言葉として残しておけば、数年後にも会社を知るための情報になります。

一度の取材を、一度の発信で終わらせない。

HATARAKIで過去の記事を読み返していると、企業の中にある情報を残すこと自体に価値があると改めて感じます。

Vamosの取材をはじめ、社員インタビューや採用広報など、企業の中にある情報を「残る形」にするところからGalaxiaでは一緒に考えています。