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1,000円ワイン #001|VEGA CASCAJO JOVEN

ワインは昔から好きで、年間で考えるとそれなりの本数を飲んでいる。

ここに、画像の横に置く文章を書きます。

好きな産地やブドウ品種もあるし、数万円のワインを飲むこともある。ただ、そんな一本を開けるのは年に何度か。普段飲むのは、やっぱり3,000円くらいのワインが多い。

だから、この企画ではあえてその価格帯を真剣に飲んでみたい。

ただ「安くておいしい」で終わらせず、産地や品種、つくり方まで調べて、誰かに薦めるつもりで一本ずつ飲んでみる。

第一回は、約1,000円で買えるスペインの赤ワイン。

VEGA CASCAJO JOVEN(ベガ・カスカホ・ホベン)。

リオハは、一つの味ではない

ラベルに大きく書かれている「RIOJA」。

リオハはスペイン北部、エブロ川の両岸に東西約100kmにわたって広がるワイン産地だ。

大きく

  • Rioja Alta
  • Rioja Alavesa
  • Rioja Oriental

の3地域に分かれ、西側では大西洋、東側では地中海の影響が強くなる。

同じ「リオハ」と書かれていても、気候も標高も土壌も違うため、かなり幅のあるワインがつくられている。

今回の造り手Bodegas Isidro Milagroが拠点を置くのは、東端に近いAlfaro。

この辺りのRioja Orientalは比較的乾燥して暖かい。低い標高の畑ではブドウがよく熟し、より構造やアルコール感を持つワインになりやすい。鉄分を含む粘土質や、川によってつくられた沖積土壌も特徴だ。

スペインの赤、特にリオハが好きなのは、僕にはこの味が比較的わかりやすいからかもしれない。

やっぱり僕は、テンプラニーリョが好きだ

このワインは、リオハで認められた黒ブドウ品種を使い、その中心がテンプラニーリョ。

リオハを代表する品種で、プラムやイチゴなどの赤・黒系果実、スミレなどの香りが特徴として挙げられている。

僕自身、テンプラニーリョはかなり好きだ。

専門的に正しい表現かはわからないけれど、僕には味の輪郭がわかりやすい。

果実の感じがちゃんとあって、それでいて軽くスッと消えていかない。口の中に少し重さというか、厚みのある質感が残る。

ワインでは、こうした口の中をどれくらい満たすように感じるかを「ボディ」と表現する。

もちろん、テンプラニーリョなら全部重いわけではない。でも僕が好きなテンプラニーリョには、果実味と、少し重たいボディのバランスがある。

今回のJOVENにも、それを感じた。

ちなみにJOVEN(ホベン)はスペイン語で「若い」という意味。長期熟成による複雑さより、若いワインならではの果実味やフレッシュさを楽しむタイプだ。

だから今回は、テンプラニーリョらしい厚みはありながら、重たすぎない。

このバランスがいい。

「8日間のマセレーション」って何をしているのか

生産者の資料を見ると、このワインは温度管理したステンレスタンクで発酵し、8日間マセレーションすると書かれている。

マセレーションは、赤ワインを知るうえで面白い工程だ。

黒ブドウを潰すと、中から出てくる果汁自体にはほとんど色がない。

赤ワインの赤い色、タンニン、さまざまな香りの成分は主に皮や種に含まれている。

そこで赤ワインでは、果汁だけをすぐに取り出さず、皮や種と一緒に発酵させながら成分を抽出する。

これがマセレーション。

お茶を淹れる感覚に少し似ている。茶葉をお湯につければ、時間とともに色や香り、渋みが出てくる。ワインも、皮と接触させる時間や温度、抽出方法によって、色、香り、タンニン、口当たりが変わる。

タンニンも単純な「苦い味」ではなく、口の中が乾いたり、少しざらっと感じたりする質感に近い。

こう考えると、僕がテンプラニーリョで好きだと言っている「厚み」も、ブドウ品種だけでなく、こうした醸造によってつくられていることがわかる。

今回は、最初にあまり冷やさず飲んでみた

赤ワインを冷やして飲むこと自体は珍しいことではないし、僕も普段からやる。

ただ今回は、最初にあまり冷やさず飲んでみた。

すると、口に入った瞬間に少しざらっとして、ツーンとした刺激が全体に広がった。

最初はタンニンかなと思ったけれど、渋みが後まで残る感じではない。

そこで、少し温度を下げてもう一度飲んでみた。

かなり印象が変わった。

先ほどの刺激が落ち着いて、果実味や酸、それから僕が好きなテンプラニーリョの厚みが見えやすくなる。

生産者の推奨温度は12〜14℃。アルコール度数は13.5%。

最初の状態では、温度が少し高かったことで、味そのものよりアルコールの存在感が前へ出ていたのだと思う。

僕は少し冷やした状態の方が圧倒的に好きだった。

約1,000円。これはまた買いたい

この企画で探したいのは、単純な「安くてうまいワイン」だけではない。

この値段で、自分ならもう一度買うか。誰かにも薦めたいか。

そこを大事にしたい。

VEGA CASCAJO JOVENは、僕ならまた買う。

少し冷やして、若さのある果実味と、テンプラニーリョの厚みを楽しむ。

1,000円くらいで買える一本でも、ここまで知ってから飲むと、最初にボトルを開けたときとは見え方が少し変わる。

たぶん、それもワインを飲む楽しさなんだと思う。