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TASHINAMI 味わう

1,000円ワイン #002|NUVIANA TINTO

Galaxia Intelligenceでは、仕事や経営、AI、マーケティングだけではなく、これから少しずつ、ワインや絵、自然といったものも扱っていきたいと思っている。

一見すると、仕事とは関係のないものばかりだ。

でも僕は、こういうものを知ることも、仕事をする人にとって大事な教養だと思っている。

ワイン一つをとっても、ブドウの味だけでは終わらない。

どこの国なのか。
どんな土地なのか。
どんな気候なのか。
そこで何がつくられ、どんな食文化が生まれてきたのか。

一本のワインを少し深く見ていくだけでも、地理や歴史、文化につながっていく。

絵もそうだし、映画も落語だって、そういったものにつながっていく。

もちろん、

「ワインを知れば仕事ができるようになる」

なんて言いたいわけではない。

何でも無理やり仕事に結びつける必要もない。

ただ、仕事のことだけを考えているより、知らない世界に触れて、自分の中にいろいろなものを持っていた方が、人を見るときも、社会を見るときも、少し見え方が変わる。

だからGalaxia Intelligenceでは、仕事の外側にあるものも「知性」の一つとして扱ってみたい。

そのコーナーが、TASHINAMI。

普段飲んでいるワインを、少しだけ深く見る

ワインは昔から好きで、普段からそれなりに飲んでいる。

好きな産地やブドウ品種もある。

でも、日常的に飲むのは1,000円から3,000円くらいのワインが多い。

そして振り返ってみると、

「これ好きだな」
「これはちょっと重いな」
「もう少し冷やした方がおいしいな」

と、感覚で飲んでいることも結構多かった。

それはそれでワインの楽しみ方だと思う。

でも、せっかくならその感覚を少しだけ深掘りしてみたい。

ラベルを見る。
ブドウ品種を調べる。
産地を知る。
造り手について調べる。

そして飲む前に、

「たぶん、こんな味なんじゃないか」

と自分なりに予想してみる。

実際に飲んで違ったら、なぜ違ったのかをまた調べる。

今まで感覚で捉えていたものが、少しずつ言葉になっていく。

そんなふうに一本ずつワインを知っていくのが、この企画だ。

第二回は、スペインの赤ワイン。

NUVIANA TINTO(ヌヴィアナ・ティント)。

テンプラニーリョとカベルネ。これは重そうだ

今回のワインは、スペインのD.O. Catalunya(カタルーニャ)。

使われているブドウは、テンプラニーリョとカベルネ・ソーヴィニヨン。

TASHINAMI NOTED.O.って何?D.O.は「Denominación de Origen」の略。スペインの原産地呼称で、ワインがどの地域で、一定の基準に沿ってつくられたものなのかを示している。ラベルを見るときにD.O.を確認すると、そのワインの「出身地」が少し見えてくる。

カタルーニャはスペイン北東部。

バルセロナがある地域と言えばイメージしやすい。

地中海に面し、ワインづくりも盛んな土地で、今回のD.O. Catalunyaではスペインの伝統的な品種だけでなく、カベルネ・ソーヴィニヨンのような国際品種も使われている。

そして今回使われているのが、僕自身も好きなテンプラニーリョ。

TASHINAMI NOTEテンプラニーリョスペインを代表する黒ブドウ品種。赤や黒の果実を思わせる風味を持ち、リオハをはじめスペイン各地で栽培されている。地域や熟成方法によって、軽快なものからしっかりしたものまで幅も広い。

そこにカベルネ・ソーヴィニヨンが加わる。

TASHINAMI NOTEカベルネ・ソーヴィニヨンフランス・ボルドーを代表する黒ブドウ品種で、現在では世界中で栽培されている。色が濃く、タンニンや骨格のあるワインになりやすい品種として知られている。

この二つを見たとき、僕はかなり単純に、

「これは結構、重いんじゃないか」

と思った。

テンプラニーリョの厚みに、カベルネのしっかりした感じが加わる。

だったら、ある程度ボディのある赤になるだろう。

少し冷やした状態から飲み始めれば、最初は軽快に感じる。

そこから温度が上がるにつれて香りが開いて、厚みや重さも出てくる。

最後はつまみがなくても、ワインだけでゆっくり飲める。

飲む前は、そんな予想をしていた。

温まっても、思ったほど重くならない

最初は少し冷やした状態から飲んでみた。

これは予想どおり、締まっていて飲みやすい。

そこからグラスの中で少しずつ温度が上がっていく。

香りや果実の感じも少しずつ出てくる。

ここまでは想像していた通りだった。

ただ、

思っていたほど重くならない。

もっと口の中に残るような厚みや、少しトロッとした粘度が出てくるかと思っていた。

でも、そこまでではない。

カベルネ・ソーヴィニヨンまで入っているので、僕の中ではもう少し「どっしり」が来ると思っていた。

その意味では、少し物足りなさもあった。

TASHINAMI NOTEボディと粘度ワインでいう「ボディ」は、口に含んだときに感じる全体的な重さや厚みのこと。粘度はもう少し、口当たりのトロッとした質感に近い。ボディのあるワインが必ずしも強い粘度を持つわけではなく、アルコール、果実の熟度、醸造などさまざまな要素が関係している。

でも、その軽さがちょうどいい

ところが、飲み進めていると印象が変わってきた。

飽きない。

一口目に強烈なインパクトがあるわけではない。

濃厚な果実味が押し寄せてくるわけでもない。

口にまとわりつくような厚みもそれほどない。

でも、そのぶん次の一口にすっといける。

そしてまた飲む。

気づいたら結構減っている。

これはちょっと危ない(笑)。

でも、普段飲む1,000円前後のワインだと考えると、この「飽きずに飲める」というのは結構大事なのかもしれない。

ワインを飲むとき、

濃い。
重い。
香りが強い。

そんなわかりやすさを「おいしい」と感じることも多い。

でも今回飲んでいて、

最後まで気持ちよく飲めることも、ちゃんと一つの良さなんだな

と思った。

重さを期待すると少し物足りない。

でも、その物足りなさが、そのまま飲みやすさにもなっている。

調べてみると、この軽快さにも理由があった

飲んだあとにNUVIANAについて調べてみると、さらに面白かった。

今回の赤は、そもそも重厚さを前面に出したタイプというより、フレッシュさや丸み、飲みやすさを意識したスタイルのワインとしてつくられている。

テンプラニーリョとカベルネ・ソーヴィニヨンも別々に発酵させ、その後ブレンドされる。

さらに、樽の風味を強く加えて重厚に仕上げるというより、ステンレスタンクを使い、果実のフレッシュさを残す方向のつくりになっている。

TASHINAMI NOTEステンレスタンクワインは木樽だけでなく、ステンレス製のタンクでも発酵や熟成が行われる。ステンレスは木の香りを加えないため、ブドウ本来の果実感やフレッシュさを表現しやすい。ワインのつくり方を見ると、味の理由が少し見えてくる。

そう考えると、

僕が「思ったより軽い」と感じたこと自体が、このワインの狙いに近かった

のだと思う。

品種だけ見ても、ワインはわからない

今回、一番面白かったのはここだった。

僕は、

テンプラニーリョ+カベルネ・ソーヴィニヨン
=比較的重いワイン

と予想した。

でも、実際は違った。

もちろん、ブドウ品種は味を想像する大きなヒントになる。

ただ、それだけでは決まらない。

どこでつくられたのか。
どんな気候なのか。
どこまでブドウを熟させるのか。
樽を使うのか。
ステンレスタンクなのか。
そして造り手が、そもそもどんなワインをつくろうとしているのか。

それぞれが重なって一本の味になる。

考えてみれば当たり前のことだけど、実際に飲んでから調べると、そこがすごくよくわかる。

今回のNUVIANA TINTOを一言で表すなら、

重さを期待すると、少し物足りない。
でも、その軽さのおかげで飽きずに飲める。

そんな一本だった。

次にテンプラニーリョとカベルネ・ソーヴィニヨンの組み合わせを見つけても、

「この二つなら重いだろう」

だけでは終わらないと思う。

産地はどこだろう。
樽は使っているのか。
造り手はどんな味を目指しているのか。

見るものが一つ増える。

一本飲むたびに、次の一本を見る解像度が少し上がる。

たぶん、こういう積み重ねがワインを知っていく面白さなんだと思う。